2008年くらいの「mixi」のサービス設計が神すぎた

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最近mixiの不調が騒がれていますが、個人的には「昔のmixiは奇跡的に計算されていた!」と思います。同級生はみんな熱中していたのを覚えています。

当時は思いもしませんでしたが、振り返れば緻密に計算されていたことに気づきます。。

 

当初のmixiには「ハマる神サイクル」があった

招待制は「人気者」のどや感を演出

はじめmixiは招待制でした。私の経験したmixiの広がり方はこうでした。

どこの学校にも「超人気者」がいるはずです。彼らはもちろん他校の生徒に幅広い人脈があります。彼らはそんな他校の知り合いからいち早く招待を受けて、mixiを始めていました。当時は他校に友達がいること自体がステータスですから、mixiのアカウントは「人気者と呼ばれたい集団」に渇望されるわけです。

次第に「超人気者」の彼らがその「人気者と呼ばれたい集団」に招待を送り始めます。すると、「人気者と呼ばれたい人」は見事「校内の人気者」になります。学校の中で相当数の「校内の人気者」が増えると、そのステータスを得るために、「特に人気でもない人」も渇望し始めます。

次第に彼らも招待をもらうようになり、学校はその話題で持ち切りになります。いつしか「まだ登録していない人」というレッテルを張られる人がでてきて、彼らがmixiアカウントを渇望します。そうやって一校を飲み込んだmixiは、次の学校へとアメーバ状に広がるのです。

 

日記というテンプレートは最強だった

投稿するものが日記であったのも成功の要因だったと思います。日記はテーマがない自由記述です。書く内容など山ほどあります。学生時代など日々書くことであふれています。

そんな日記は時間をかけて書くものでした。なにせ「日記」と呼ばれるほどですから。日記は寝る前にじっくり腰を据えて書く、というイメージのある言葉です。日記というネーミング自体が投稿の分量を担保していました。

そしてそんな日記は誰かに読まれることを前提で書かれます。1つの日記はあの子が見たらどんなことをいってくれるか、そんなことを暗に意識しながら書くのです。そうして仕上げた超大作。これで誰からも反応がなければ自分の存在意義すらなくなってしまうような感覚に陥ります。

 

足跡機能は自尊心を守るためだけにあった

そうやって仕上げた超大作を公開!誰からも見られないわけにはいきません。自尊心にかかわります。必死で誰かのmixiページを覗きに行き足跡をつけまくります。自分の記事を見てほしい一心で、足跡をつけまくる。。。不毛すぎますね。。。

でも誰もがこのループにはまり、mixiに熱中していきました。

 

mixi疲れの真実

そんなこんなしているうちに、かなり疲れてきます。自分の存在価値を毎回かけて日記を投稿し、自尊心を守るためにほかの人の日記来訪に奔走する。そんなことでだんだんとみんなmixiを離れていくのです。ただここでポイントなのは決してユーザーはmixiに「飽きた」わけではないということです。「疲れた」ユーザーが増え彼らがやめていくことで、記事の更新がなくなり「飽きて」いくのです。じつは誰もがmixiの「ハマる神サイクル」に熱中しすぎていただけなのです

 

さてmixiの「ハマるの神サイクル」はどこに行ったの?

mixiがイマイチになった要因を考えてみた

mixiの打ち手が的をはずしている節目があると思います。

 ・・招待制廃止→mixiどやのステータス感がなくなる

 ・・mixiボイス(つぶやき機能)スタート→投稿1つに重みがなくなる

 ・・足跡廃止→今すぐ見てもらうすべをなくす

招待制のステータスをなくせば、始めようというモチベーションは薄まります。つぶやきの導入で投稿の重みが減りました。どうにかして見てもらいたい!そんな感覚が少なくなっていきました。コミュニケーションの頻度は減ったでしょう。そしてついに足跡機能を消し、自分の投稿を見てもらう足掻きのすべを失ったのです。そうして熱中しすぎて疲れるほど完成していた当初の「ハマる神サイクル」を自ら壊し続けていきました

 

mixiの「ハマる神サイクル」を信じ続けるべきだった

こうすればよかったのかもしれない。。

mixiなどのSNSが常にはらんでいる問題が一つあります。それは帰属集団が変わってしまった時に、更新頻度が鈍ってしまうという問題です。社会人になっても大学の友人に向けた記事を書くのは抵抗がありますよね。所属する集団が変わると、みんなの顔色をうかがい、結局面倒になり投稿をやめてしまいます。

それは仕方ないことであれば、帰属集団が変わるタイミングで新しいアカウントを発行するべきだと思います。「卒業おめでとうございます、あなたは大学生になりました。新しい仲間と新しいmixiをはじめましょう。」こんなセリフとともに、もう一つアカウントを作ってあげるのです。

「ハマる神サイクル」をリフレッシュさせるだけでよかったのではないでしょうか。

 

サービスの価値の延長で成長戦略を考えるべき!

twitter」が流行ったから焦ってつぶやきを導入してしまいました。すると、「mixiボイス(つぶやき機能)」と「twitter」ってどこが違うの?と言われるようになります。で、「mixi」よくわからないし、「twitter」でいいかも、となります。mixiらしさがどんどんとなくなっていきます。

周りの流行に左右されず、「ハマる神サイクル」をいかに維持するかを考えるべきだと思います。磨き上げてきたサービスの価値をずっと信じて展開していくべきです。

 

※下記の記事を見る限り、

「課題の解決と役割の見直しにより、時代に合った使いやすさを追求する」-ミクシィ原田氏・石橋氏に聞く「足あと」機能改善のポイント <2011年6月7日 / 10:10>

ユーザーの行動が変化したのではなく、mixiの機能変化によってユーザーの動き方が変わったように見えます。

 

※とはいえ、mixiは上場しています。。。笑